酒器・片口に特化した「かたくち屋」が日本酒好きに人気!

[最終更新日:2022年7月21日]
酒器の中でも片口をメインに扱う「かたくち屋」が最近ネット上で人気なんです。有名百貨店のイベント出展も増え、日本酒好きだけでなく食を愉しむ人達に愛される片口セレクトショップ。陶芸作家との関係を築き上げるところから写真撮影、サイト作成・運営、商品発送まで全て1人でこなす店主の大屋みえさんに話を聞きました。実店舗も人気のかたくち屋の情報は記事末をご覧ください。


▲清岡幸道 作品

片口(かたくち)とは:
口縁の一部に注ぎ口のついた器のこと。口縁部の片側に注ぎ口があることから片口と呼ぶ。一般的な用途は酒の液体をそそぐ注器、液体を計量して注ぐための計器、普通に食材を盛る器として広く普及しました。
日本人は縄文時代(約1万4000年前〜紀元前6世紀)や弥生時代(紀元前6世紀〜3世紀)から片口を使用。片口に対して、両方に注ぎ口がある「諸口(もろくち)」という器もあります。

「盛ったり生けたり注いだり…」絵になる片口

陶器、ガラス食器を扱う店は世の中にたくさんありますが片口を中心に扱う「かたくち屋」は現在、世界でただ1つです。他の酒器やマグカップも扱っていますが、片口にスポットをあてた目の付け所はかなりニッチです。
「ネットショップの食器屋の中でも何か1つに絞りたいと思ったんです。その時にふっと片口が頭に浮かんで。自分で描いてみたら、ちょこんと口が出てるのが可愛くて絵になるし、使い方を考えるのも楽しい器なんですよね」(大屋さん)

最近はSNSを通じて片口の使い方を提案してくれるファンもいるようです。
「片口は料理を盛ってもいいし、注ぐのもお酒だけでなく、めんつゆやドレッシングを入れてもいい。花を生けたりインテリアにもなりますね。先日は抹茶を淹れるという使い方を教えていただきました」(大屋さん)

▲松本かおる

▲橋村大作

▲スエトシヒロ

▲打田翠

▲田澤祐介

▲高田かえ

▲鶴見宗次

▲黒木泰等

全部自分1人で運営するセレクトショップ

ネット通販では写真やデザインのセンス、マメに更新するなど、運営の仕方も大切な要素。かたくち屋サイトのクオリティの高さからサイト制作会社のプロ仕事と思いきや、撮影、デザインの制作・運営などは大屋さんが全てお1人でしているとのこと。もちろん、陶芸作家さん達とのつながりもご自分でされています。
「作家さんを探すところから始め、コンタクトをとるのも失礼にならないよう、とても慎重にしています。最初はちゃんと作品を見て、次は個展に行って本人と会い、その後工房にうかがったりしています。人によっての相性もありますから」(大屋さん)
「かたくち屋」は大屋さんの感性で選び、集めたセレクトショップ。
「自分自身が感動できるような作家さんの作品を扱いたいと思っています。『ただ集めました』みたいなお店は絶対やりたくなかったんですよ」(大屋さん)

百貨店の期間イベントや実店舗で逢いましょう

ここ数年、全国の百貨店に期間限定出店する無店舗のデザインTシャツ屋さんが引っ張りだこ。ある意味、身軽に出店できるのも無店舗の良さです。
センスの良い「かたくち屋」も老舗有名百貨店から声がかかり大人気。2015年6月だけでも伊勢丹とタカシマヤの期間限定イベント出展されました。
「伊勢丹に声をかけてもらったのがきっかけです。まだそんなにたくさんイベント出展しているわけじゃないんです。最近はサイトやSNSで見て百貨店イベントに来てくださるお客様がとても増えました。『前に買った作品がすごく気に入っていて』『ネットで迷ってたので良い機会だから見に来ました』といったお話ができるのが一番嬉しい瞬間ですね」(大屋さん)

▲伊勢丹新宿店「父と楽しむ食卓 〜かたくち屋@ISETAN(2015年6/5〜6/16)

▲JR名古屋タカシマヤ「かたくち屋 〜盛ったり、生けたり、注いだり…展」(2015年6/20〜6/30)

最近は世界中から問合せや注文が来るそうです。大屋みえさんは英語が理解できるのでFacebookのメッセージやFAXでの英語注文も可能です。
そんな人気の「かたくち屋」の実店舗ができました。インターネット通販も便利ですが、片口を手にとって感触を確かめたい人は名古屋の実店舗を訪ねてみましょう。大屋みえさんは英会話もできます。片口の良さを教えてくれますよ。あなたの目と手にしっくりくる愛らしい片口に逢いにきてください。

かたくち屋 ほとり
住所:愛知県名古屋市中区丸の内1-1-8 児玉ビルB1F
TEL:052-204-4520
営業時間:12:00〜18:00
定休日:火・土
※企画展中は別スケジュール

公式サイト→ http://www.katakuchi.jp
Facebookページ→ https://www.facebook.com/katakuchiya?fref=ts


※この記事は、2015年7月31日に「アークのブログ」にて公開されました。

味噌を知り尽くしたプロフェッショナル「みそソムリエ」とは?

[最終更新日:2022年5月27日]
2013年12月、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。世界中から日本の食材や調味料に注目が集まっています。その中でも「味噌」への関心が高いのです。そこで今回は、味噌を深く知るプロフェッショナル「みそソムリエ」を紹介します。

日本の料理に欠かせない味噌

味噌とは、大豆や米、麦に塩と麹を加え発酵させて作る発酵食品。日本人はもちろん、訪日して味噌味が好きになった人にとっても味噌は外せない調味料です。日本での味噌の起源は奈良時代(710〜794年)。実は約2500年前には味噌の原型が造られていた形跡があるのですが文献に登場するのは奈良時代です。歴史ある日本伝統の味といえます。

味噌汁はほぼ毎日食べるソウルフードです。味噌は各家庭に必ず置いてあります。その中でも料理好きな人、味噌が好きな人は大手味噌メーカーの商品より自分の好みの味噌を選びたいと思っています。でも、味噌にはたくさんの種類があり、その全てを知る人は少ないのです。また、自分で味噌を造りたい人もいます。そこで、味噌に詳しい「みそソムリエ」にアドバイスしてもらった方が理想的な味噌味に出会えるのです。

「みそソムリエ」を知っていますか?

日本には様々な民間資格があります。本来は別の場面で使われる単語「ソムリエ」「マイスター」「マエストロ」「コーディネーター」「アドバイザー」と、食材や工芸製品を組み合わせた造語の肩書きです。資格取得するためには、経験年数が必要なことや講習を受けて、受験後に合格することが必須条件なのです。この資格は民間会社や業界団体が運営しており、国家資格ではありません。しかし、資格取得者は称号とともにユーザーからの信頼を得ることができるのです。

「みそソムリエ」とは「味噌」を深く愛し、理解と知識を深め、国内外に味噌文化を広める伝道者です。また味噌造りや味噌を使った料理を後世に伝えていく伝承者でもあります。
「みそソムリエ」は「みそソムリエ認定協会」の資格講座、認定試験を受けて、認定された者のみに与えられる公式名称です。

ここでは味噌の専門家「みそソムリエ」の1人を紹介します。彼は民間資格を単なる肩書きだけではなく実際に毎日の仕事に役立てて情報を発信しています。彼の勤める東京・下町の味噌屋に行ってみましょう。彼は日本語のみで味噌に関するコミュニケーション能力を発揮しています。

みそソムリエ・夏川雄介さんと「郡司味噌漬物店」

東京の台東区鳥越一丁目は東京大空襲で焼けなかった地域。今でも戦前からの長屋が残る昔ながらの職人の町です。その下町の商店街・おかず横丁にある「郡司味噌漬物店」は1957年創業。家族経営の味噌屋で、夏川雄介さんは営業部部長をつとめています。23歳でこの店で働き始めて、今年で15年。お店だけでなく百貨店にイベント出店した際にもお客さんに味噌の魅力を伝えています。

「創業者の会長は終戦後に捕虜として4年間のシベリア抑留経験があります。飢えと寒さ、強制労働の日々の中、戦友達との話題は食べ物の話ばかりで『母親が作った味噌汁が食べたい』と話していたそうです。そういう味噌に対する熱い想いに感銘を受けました。僕もその火を消したくないと思っています」(夏川さん)
今も健在でみんなに「お父さん」と慕われる郡司春雄さんは現在98歳です。当時、戦友達の想いを聞き「生きて帰ることができたなら味噌屋になろう。戦友達の命を支えたお袋の作る味噌を商おう」と決心。夏川さんはその想いを受け継いでいます。

味噌へのこだわり

「みそソムリエ」は味噌の知識に深さと幅があります。郡司味噌漬物店の「みそソムリエ」は現在3人(夏川さん、社長の郡司武司さん、営業部主任の池本康博さん)。
「元々、味噌のことは知識はありましたが、みそソムリエになってからは味噌の説明にも説得力が出るみたい(笑)です。百貨店イベントに出店してる際にも役に立ってますね」(夏川さん)
お店に来てくれるお客さんにも料理や季節、食材に応じた味噌の相談に応じてくれます。

郡司味噌漬物店の味噌は全て天然醸造です。大寒(寒さが最も厳しくなる季節。毎年1月20日~2月3日頃)に仕込み、その夏を越え、次の夏に完成します。「時間はかかりますが、バツグンの味です」と夏川さんは胸を張ります。
「料理の隠し味としても味噌を使ってみてください。カレーやシチューに味噌をほんのちょっと入れるとコクが出ます。またチーズにちょっと味噌を付けて食べてみて。発酵食品どうしなのですごく相性がいいんですよ」(夏川さん)

味噌は食べるだけでなく調味料としてもいろいろな使い方ができるのです。健康に良く、癒し効果もあります。
味噌の魅力を発信する、みそソムリエ・夏川さん。彼の笑顔に会いに東京・下町の商店街に行ってみてください。

郡司味噌漬物店
住所:東京都台東区鳥越1-14-2
営業時間:月〜金 9:00〜19:00
定休日:日・祝・第2・第4月曜日
mail:info@gunjimiso.com
URL:http://www.gunjimiso.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/gunjimiso/

※この記事は、2015年8月10日に「アークのブログ」にて公開されました。