街全体がモダンなビルの博物館! 銀座を歩いて学ぶ建築見学ツアー

[最終更新日:2022年7月26日]
「銀座の近現代建築めぐり」という建築史家が著名な建築家が設計した近現代の建物、そのデザインや歴史的背景を解説する本格的な見学ツアーがあります。通常の日本語コースに加え、英語コースが開始されました。今回は建築の知識ゼロでも楽しめる見学ツアーをレポートします。

銀座の近現代建築めぐり「Architectura Ginza」
[日時]2015年11月1日(日)10:30〜12:00(英語コース)/15:00〜16:30(日本語コース)
[主催]銀座たてもの展実行委員会

詳しい解説付きで建築物を知る
新しい街歩きツアー

「銀座の近現代建築めぐり Architectura Ginza」が開催されました。銀座にある近代建築の巨匠・丹下健三や黒川紀章、伊東豊雄、坂茂といった著名な建築家の作品を歩いて巡る見学ツアーです。作品といっても街の中にあるビル。戦前から戦後の高度経済成長時代を経て、現在へと受け継がれる建築の味わい方を学びます。午前・午後とも定員10名と少人数です。各建物の歴史や見どころを案内人・建築史家の禅野靖司先生が分かりやすく解説してくれます。

[案内人プロフィール]
禅野 靖司(ぜんの やすし)
東京生まれの建築史家。カリフォルニア大学ロサンゼルス校とコロンビア大学大学院で建築史・理論を専攻。現在は青山学院女子短期大学等で講師をつとめる。2015年秋より建築ツアープロジェクト「アルキテクトゥーラ・トーキョウ」を始動。
※「アルキテクトゥーラ」とはラテン語で「建築」。
今後のツアーに関するお問合せzzzzEnno@yahoo.co.jp まで。


[近現代建築めぐりコース](2015.11.1)※( )内は竣工した年
①静岡新聞・静岡放送ビル(1967)→ ②電通銀座ビル(1934)→ ③泰明小学校(1929)→ ④ソニービル(1966)→ ⑤メゾンエルメス(2001)→ ⑥ルイ・ヴィトン銀座並木通り店(2004)→ ⑦第一菅原ビル(1934)→ ⑧東京銀座資生堂ビル(2000)→ ⑨銀座六丁目プロジェクト(2016)→ ⑩銀座ライオンビル(1934)→ ⑪ニコラス・G・ハイエックセンター(2007)→ ⑫中銀カプセルタワービル(1972)→ ⑬Ginza Kabukiza(2013)→ ⑭三愛ドリームセンター(1963)→ ⑮和光(1932)→ ⑯教文館ビル(1933)→ ⑰奥野ビル(1932)→ ⑱川崎ブランドデザインビル(1932)

新橋駅スタート〜元・電通本社ビル〜有名ブランドショップビル

ツアー参加者の皆さんが集まり、「建築めぐり」スタートです。

今まで日本語解説のみでしたが今回初めての午前の部・英語コースです。禅野先生が英語で解説してくれます。

▲元・電通本社の電通銀座ビル(現在の本社は汐留)

▲ブランドショップビルが多いのも銀座ならでは

戦前築のビルから2017年竣工予定の建造物まで

銀座には歴史的価値ある建造物が多く現存しています。解説を聞き、ビルの建てられた背景や建築家の思いを知ることで街歩きを満喫できます。


▲スクラッチタイルや丸窓が昭和初期の面影を残す第一菅原ビル(1934年竣工)


▲レンガ色の東京銀座資生堂ビルはスペイン出身の建築家リカルド・ボフィル設計

建築家・黒川紀章氏の初期の代表作で「メタボリズム」を象徴するビル「中銀カプセルタワービル」。建築史上貴重かつレトロフューチャーな姿がフォトジェニックなビルです。ツアーの参加者の皆さんもたくさん写真撮影していらっしゃいました。

銀座中央通りの代表的なビル群〜
80年前の高級アパート内を見学!〜ゴール

今回は多くのビルを見て回る主旨なのです。約1時間半、普段のツアーより多めに歩きました。大通りを進み裏道を抜け、いい運動になります(笑)。参加希望者はスニーカーや歩きやすい靴がオススメです。


▲銀座を印象づけるシンボルのひとつ「和光」の時計塔

▲奥野ビルは1932(昭和7)年に竣工した元・高級アパート。現在はアンティークショップやギャラリーが入っている。貴重な手動開閉式エレベーターが現役で稼働中。

ゴールは「川崎ブランドデザインビル」(1932年竣工)。「銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)」として現在も保存・活用されています。

この見学ツアーは著名な建築家を知らずとも楽しめます。時代によって移り変わる銀座を見てきた建物が愛おしく感じられました。メンテナンスは大変ですが素敵なビルは解体しないで遺してほしいと思います。
この建築見学ツアーは今後も催される予定です。ぜひ、あなたのフォトジェニックな建物を見つけてください。

銀座たてもの展 Architecture Exhibition in Ginza
展覧会、見学会、アートプログラムの企画実施するプロジェクト。銀座1丁目から8丁目をアート、建築、デザインで繋ぐことで新たな銀座の魅力を抽出すると同時に、情報発信し、リアルな銀座を共有することを目指しています。
[URL] https://www.facebook.com/ginzamikke/

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写真集『中銀カプセルガール』
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト青月社

フォトグラファー山本華漸(やまもとかざん)が11人の女性モデルをカプセルで撮影した写真集。中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトが「アートの力で建物を再生」をテーマとした「中銀カプセルアートプロジェクト」第1弾。世界的に有名なこの建物を未来に引き継ぐために写真集を出版されたとのことです。

中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト青月社

今回のツアー・コースにも含まれていた「中銀カプセルタワービル」。その外観を見ただけで魅了された人も多いはず。「部屋はどうなっているんだろう?」「誰がどんなふうに住んでいるの?」と見てみたくなった方はこの本をオススメします。ステキなビジュアルファンブックです(中銀カプセルタワービルに住む「銀座たてもの展」担当キュレーターが取材協力)。

※この記事は2015年11月24日に「アークのブログ」にて公開されました。