2023年開催日程!ぜひ「西新井大師・風鈴祭り」へ

[最終更新日:2023年7月9日]
風鈴は日本の夏の風物詩。毎年7月、東京・足立区にある西新井大師では風鈴祭りが開催されます。日本全国の風鈴を一挙に楽しむことができる風鈴祭りを紹介します。今年(2023年)は例年に比べて開催期間が短いですが感染症対策とともに熱中症対策も忘れずにお越しください。

日本の夏の風物詩「風鈴祭り」

東武スカイツリーライン西新井駅で乗り換え、ひと駅の東武大師線大師前駅で降りてすぐにある西新井大師。正式な寺名は、五智山遍照院總持寺(ごちさん・へんじょういん・そうじじ)です。空海(弘法大師)ゆかりの寺で古くから「関東の高野山」とも呼ばれています。


参道を通り抜けると總持寺の境内に「風鈴祭り」のテントが見えます。設営されたテント内には、葦簀(よしず)や簾(すだれ)が使われ、全国各地の様々な風鈴がつり下げられているのです。素材・種類は61ブランド、計400個以上の風鈴が涼やかな音色を奏でていますよ。

「風鈴祭り」は入場無料。誰でも風鈴を眺めたり、写真撮影もOKです。風鈴は展示即売しています。気に入った風鈴があれば、その風鈴の短冊の番号(価格も明記)をメモし、風鈴会計所で購入可能ですよ。
風鈴祭りにいた年配の夫婦が風鈴の音色に誘われ、暑さも忘れて見入っている姿が印象的でした。「姿はガラスや陶器がいいね。音は鉄や銅がいいかな」「竹や和紙も風情があるわよ」ととても微笑ましいご様子でした。

風鈴は絵柄だけでなく素材も多種多様

風鈴には素材やデザインによって種類がたくさんあります。日本全国に、地域色ある風鈴がバリエーション豊富なんです。
ここでは素材から紹介します。素材によって「リンリン」「チーン」「カランカラン」など音が違いますが、個人の好みは様々ですよね。

●ガラス●
ガラスは透明感が涼しげで夏にピッタリの素材。「江戸風鈴(東京都)」が有名ですよね。江戸切子や薩摩切子の風鈴もあり、伝統の美しさを感じます。風に揺れるシャボン玉のような「市原手作りガラス風鈴(千葉県)」や「津軽びいどろ風鈴(青森県)」も美しかったですよ。


●陶器(焼き物)●
益子焼、美濃焼、信楽焼、常滑焼、瀬戸焼、備前焼、萩焼…有名な陶芸の産地で風鈴もたくさん作られています。清水焼、有田焼、伊万里焼になると風鈴でも高価ですが、3日で完売するというから驚きです。


●金属●
南部鉄瓶が有名な岩手県の「南部風鈴」。金属加工で知られる富山県高岡市からは「富山真鍮風鈴」「高岡鉄風鈴」「高岡青銅風鈴」。金属製は色合いは鈍いですが、音はきれいなのでファンも多いのです。最近はデザインも凝っていて、かわいいので要チェック!


●その他●
地域名産の素材を活かした個性的な風鈴にも注目ですよ。「竹」を使った風鈴は和テイストが訪日観光客にも人気です。「越前和紙」が有名な福井県は風鈴を「風水母(かぜくらげ)」と呼んでいます。「備長炭風鈴(和歌山県)」は、備長炭の「カラカラッ」という音にも風情がありました。「キャラクター」風鈴もあり、熊本県の「くまもん風鈴」が注目の的でした。

(音が出ます)

* * *

「藤岡ガラス風鈴(群馬県)」を購入しました。音色と、すりガラスに猫と金魚の絵柄に惹かれたのです。サンドブラストという技法で「こもれびがらす工房」(高城健治(宙吹き)、高城美和子(サンドブラスト))制作。この風鈴で夏の暑さも忘れたいと思います。


西新井大師 風鈴祭り
会期:2023年7月15日(土)〜30日(日)
時間:10:00〜16:00
会場:西新井大師 總持寺 境内(東京都足立区西新井1-15-1)
アクセス:東武大師線 大師前駅からすぐ
主催:西新井大師奉賛会
URL: http://www.nishiaraidaishi.or.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/nishiaraidaishisoujiji/

偶然、芸人(げいにん)の「お侍ちゃん」@menzamuraiサンミュージック所属)を見かけました。思い切って声をかけると快く撮影に応じてくれましたよ。彼の髷はカツラではなく、ご自分の髪で結っているのです。

※この記事は2016年7月15日に「アークのブログ」にて公開されました。

世界中から築地においでよ![築地はしご酒]は「飲み・食い・遊び」街イベント


築地をもっと盛り上げようと2014年に始まった街イベント築地はしご酒。築地の居酒屋や飲食店を回遊するスタイルが大いにウケて、毎年開催されています。そこで、第1回がどんな盛り上がりを見せていたのか写真を交えて紹介します。このイベントを企画運営する築地はしご酒実行委員会の皆さんに「地元・築地への想い」も聞きました。(「築地はしご酒」参加の仕方は記事末に)

▲「築地はしご酒」はこんなに盛り上がってます(音が出ます)

マップ片手に築地の飲食店めぐり

地元の若手たちが自主的に実行委員会を立ち上げ、2014年11月に開催された街イベントが[築地はしご酒]です。
第1回(2014年11月8日)に参加した店は23店舗。集まったお客さんはなんと800人以上というから驚きです。(2016年の第3回は参加店舗は40店。2200人のお客さんが集まりました)


▲写真左は、副委員長の伊藤信吾さん(築地 伊藤海苔店4代目)。右は、委員長の松本聰一郎さん(つきじ長生庵2代目)。Facebook広報ご担当の小島英朗さん(つきじ手焼玉子焼専門店 本玉小島3代目)も実行委員会メンバーの一人。

【築地グルメ満喫】
料理のジャンルは、海鮮、寿司、天ぷら、蕎麦、ホルモン、カレー、ラーメンなどなど、築地グルメを中心にバラエティー豊富。当日に特別新メニューを用意するお店もあります。
「この日好評だった新しい料理は後日、その店の定番メニューになってました。とにかく、どの店の料理もうまいです。だって築地ですから(笑)」(伊藤さん)

【お酒もオールジャンル!】
料理同様に、日本酒、ビール、ワイン、焼酎などのドリンクも各店で当日限りのワンコイン(500円)のキャッシュオン(現金精算)です(2017年)。
「本願寺エリアにはイマドキって感じの素敵なバルが多いんです。築地といっても居酒屋や和食だけじゃなく、生ハムとワインのお店やドイツビールのお店などもウケてます」(伊藤さん)

【楽しい一期一会がいっぱい!】
友人同士で来てる人もいますが、その日に築地で出会って酒を酌み交わす場面がそこら中で展開されるのが「はしご酒」の楽しいところ。お店情報を交わしたり、酒自慢したりと初対面でも仲良しに。
「参加者は30代〜50代が多かったですね。男女の比率は半々ぐらい。お一人で来てる60代の男性もいて、すごく楽しそうでした (笑)」(松本さん)

「街全体を好きになってもらいたいですね!」

築地はしご酒実行委員会メンバーは2〜4代目といった地元商店の後継者が多く、「これからの築地」を日々考えている若手ばかり。
「普段から気軽に築地グルメを楽しんでもらいたい!」「築地の魅力を堪能してもらって、街全体をもっと盛り上げたい!」「観光地を素通りじゃなくて、これをきっかけにたびたび来てもらいたい!」
その気持ちが築地の飲食店にも伝わり、参加飲食店も張り切って準備しています。
「目指すべきは地元に愛される街。地元住民や築地の市場で働く人にもこの機会にお客さんとして参加してもらいたいと思ってるんです。もちろん、訪日客の皆さんも大歓迎です!」(伊藤さん)
「来てくれる人みんなに、この街いいじゃん!って、街全体を好きになってもらいたいですね。もう最終的には引っ越したい!と思ってもらえたら最高です(笑)」(松本さん)

▲「築地はしご酒」は国籍性別問わず参加可能です(音が出ます)

2018年も開催します!

終了してすぐに「次の開催はいつですか?」と問い合わせが来るぐらい築地ファンを増やした第1回〜第4回。その日の都合が合わず参加できなかった人も含めると、多くの人が2018年の第5回開催を心待ちにしているようです。
「皆様のおかげで、築地はしご酒は毎年開催しています。いろんな方々とつながって学ばせてもらって、ただ飲んで騒ぐだけのイベントじゃなくなっているところが嬉しいです。今年も厳選したうまいお店が皆様をおもてなしします」(伊藤さん)
「いろんな街イベントがあって、それぞれの特色や売りがありますよね。築地はしご酒は今回も飽きさせない工夫をしたい。回数を重ねることも大切ですが、小さな地域だけでなく中央区全体みんなで意見を出し合って盛り上げていきたいです」(松本さん)

築地の街全体が移転すると思い込んでるあなた!それは間違いですよ。
築地場外市場と[築地はしご酒]は引っ越したりしません!

[築地はしご酒]参加の仕方
[築地はしご酒]は、まるでオリエンテーリングのような街イベントです。

①まずは、公式サイトでチケットを予約するか、予約せずに当日券にするか選んでおきましょう。
[チケット]事前WEB予約600円(税込)/当日券1000円(税込)
前売券には、参加証になるリストバンド+翌日から使える「1DRINKサービス券」+築地はしご酒グッズが含まれます。(※この価格やサービスは2017年のものです)

②当日は受付になっている場所に行きます。(行列に並びます)

③受付にて参加証を受け取ったら、マップとメニューを持って築地の街を巡り、選んだお店へ行きましょう。ワンコイン(500円、1000円)の特別メニューやお酒をキャッシュオン(代金精算)にて楽しめます。

④築地のおいしい料理とお酒を思う存分楽しんでください。

[築地はしご酒2018](第5回)
開催日時:2018年11月17日(土) 16時〜21時
開催場所:築地界隈 約50店舗参加
受付場所:築地本願寺
料金:前売券600円(税込)/当日券1000円(税込)
★「第5回 築地はしご酒2018」チケット予約サイト:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01008nz6ubej.html
Facebookページ[築地はしご酒]:https://www.facebook.com/Tsukijihasigo/

※この記事は「アークのブログ」に公開(2015年9月28日)されたものを加筆修正いたしました。

日本酒好きのための特別編:「2代目Mr.Sake」が決まりました!

[最終更新日:2022年8月4日]
2017年11月21日、「2代目Mr.Sake最終選考会」が開催されました。このイベントの正式名称は「第69回 日本酒文化を楽しむ会/福島県・末廣酒造の酒とシーフードを楽しみながら2代目Mr.Sake最終選考会」です。今回は世界中にいる日本酒好きの皆さんのために特別編。この宴のもようをお届けします。

「Mr.Sakeコンテスト」とは?

このコンテストの主催は「日本酒文化を楽しむ会」。この会は2012年2月に結成されました。主宰は、酒サムライ(2015年叙任・日本酒造青年協議会)やNPO法人・日本酒伝道師協会塾長など数々の肩書きを持つ杉原英二さん。

「和食が世界無形文化遺産に登録されましたが、日本酒も和食の一つという視点で応援していこうとこの会を結成しました。日本全国には頑張っている蔵元さんがたくさんいらっしゃいますが、そんな蔵元さんと交流を図りながら酒と料理を楽しんでいます。また、日本伝統文化をはじめ、幅広く音楽・映画・美術の分野なども紹介をし、日本酒文化と繋げながら理解を深めていこうというのがこの会の趣旨です」(主宰・杉原英二さん)

その活動の中で、主宰の杉原さんと日本酒をこよなく愛する高野珠美さんが発起人となり始めたのが「Mr.Sakeコンテスト」。今回で2回目です。初代の「2016 Mr.Sake」は橋野元樹さん。五反田にある「SAKE story」というお店の代表です。
「このイベントを通して日本酒に愛着を持ってくれる愛飲家を見つけ、日本酒の伝道師を育てる機会を作りたい」(杉原さん)という思いで展開しているそうです。

「Mr.Sakeコンテスト」最終選考会までの道のり

「Mr.Sake」エントリーは自薦他薦問わず、2017年9月15日〜2017年10月31日で行われました。応募資格は、男性であること(年齢20歳以上/未婚・既婚は不問)。
選考基準は、「日本酒および日本酒文化を誰よりも好きで理解ある男性」「日本酒普及活動に強い意欲がある男性」「毎月の日本酒文化を楽しむ会、並びに酒蔵プレスが主催する平日の夜、及び週末のお昼のイベントに基本的に参加可能なこと」です。

エントリーが集まると事務局にて「一次審査・書類選考」があります。
その後の「二次審査」は一般投票です。「Mr.Sakeコンテスト」公式サイトに公開された候補者のプロフィールを見て、「Mr.Sakeにふさわしい」「応援したい!」というみんなの投票で決まるのです。2017年11月1日〜10日の10日間、より多く投票を獲得した3名(今回は特別に4名)がファイナリストとなりました。

二次審査でも一般からの投票総数は2908票。「2代目Mr.Sake」ファイナリストはこちらの4名でした。二次審査の得票順に紹介します。
「石丸敬将さん(33歳/日本酒歴13年)」「並里直哉さん(29歳/日本酒歴6年)」「ジョン・タウンゼントさん(39歳/日本酒歴6年)」「佐々木達郎さん(60歳/日本酒歴40年)」
予選であるこの時点では誰が「2代目Mr.Sake」に選ばれてもおかしくない、全く分からない状況でした。

開宴!「Mr.Sakeコンテスト」最終選考会

選考会の正式名称は「福島県・末廣酒造の酒とシーフードを楽しみながら2代目 Mr.Sake最終選考会」。2017年11月21日(火)の夜、東京・目黒オイスターバー(貸切)にて開催されました。参加者は定員80名のところ、関係者など含めて100名弱に。最終的にはこの参加者の投票によって2代目Mr.Sakeが選出されるのです。

審査委員長は日本酒スタイリストの島田律子さん。司会は、東京・町田市の紙芝居師「さるびあ亭かーこ」さんです。福島県会津若松市にある末廣酒造の新城猪之吉社長立ち会いの元、ついに始まりました!

挨拶や乾杯の後、二次審査を通過したファイナリスト4名が壇上で最終プレゼンテーションを行います。持ち時間は1人7分間。このスピーチは「日本酒および日本酒文化に対し深い愛情と理解を注ぎ、日本酒文化の普及活動に強い意欲がある」という観点で審査されます。

プレゼンテーションが終わると、各ファイナリストは会場(店内)を巡り、参加者(投票者)に挨拶。おいしい末廣のお酒とシーフードでいい感じに(笑)酔いながらも皆さん、鋭い目で審査していました。

ついに決定!「2代目Mr.Sake」はこの人!

さあ、ついにこの時がきました。「2代目Mr.Sake」投票結果の発表です。実は結果発表まで結構時間がかかっていました。それは、事務局が開票してみたら票が割れて僅差だったために、間違いがないように何度もカウントしていたからとのこと。それほどに激戦だったといえます。その結果、「2代目 Mr.Sake」=グランプリの他に、全員が賞を授与されることとなりました。

グランプリ!「2代目 Mr.Sake」ジョン・タウンゼントさん
準グランプリ(審査員特別賞):並里直哉さん
末廣 野口英世賞:佐々木達郎さん
イケメン フォトジェニック賞:石丸敬将さん

ジョン・タウンゼントさんがグランプリです。「2代目 Mr.Sake」に輝きました! おめでとうございます!

受賞の4名にはそれぞれ表彰状と末廣酒造の美酒が進呈されました。グランプリ受賞のジョンさんには「山田平安堂」の漆の大杯が1年間貸与。そして、銀座の男着物専門店「わノわ」よりオーダーメイドの着物が提供されます。

これからジョン・タウンゼントさんは「日本酒文化を楽しむ会公認2代目 Mr.Sake」として、日本酒イベントで活動していくことになります。いろんなメディア取材にもどんどん取り上げられると思います。皆さん、この受賞者4名を見かけたら優しく声をかけて、日本酒で乾杯してください。

「日本酒文化を楽しむ会」の皆様、最終選考会にご参加の皆様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。

※この記事は「アークのブログ」に公開(2017年12月27日)されたものを加筆修正いたしました。

翻訳:町田慈音

スノードーム美術館で、あなただけのスノードームを手に入れよう!

[最終更新日:2022年8月22日]
★スノードーム美術館は横浜ランドマークプラザ4階へ移転し、2022年8月にリニューアルオープン!
スノードーム美術館では展示だけではなく、素敵なスノードームを購入できるショップも併設されていて、スノードーム・コレクターには嬉しいスポットです。また、オリジナルのスノードーム製作ワークショップが開催されています。「観光に来たついでに」「ハンドメイドでプレゼントが作りたい」「お土産に頼まれた」「親子で参加したい!」という人にピッタリ! 実際に「スノードーム美術館」内でのワークショップを体験しましたのでその様子をぜひご覧ください。

スノードーム美術館とは
日本唯一のスノードーム常設美術館。世界中のスノードームの展示は歴史を感じさせてくれる物ばかり。展示だけでなく、ショップではスノードームの購入が可能(オンラインショップもあり。記事最後のお知らせ蘭を参照)。また、ワークショップの開催や観光地・自治体、イベントのオリジナルスノードーム制作なども。

世界でひとつだけのスノードームを手作りで!

スノードーム美術館の販売ショップでは気に入ったスノードームを購入できます。でも、この機会に「自分がデザインしたオリジナルのスノードームを手作り体験してみたい!」と思い、ワークショップにメールで申し込んでみました。他に生徒さんがお一人。我々、取材クルーは2人なので、計3人で一緒に体験です。

この日のインストラクターは、笑顔が素敵な「わかなさおり」先生。インストラクター歴は約6年。以前から包装紙やリボン、シール、折り紙、細々した雑貨などをついつい集めてしまうところがあり、「これらを活かすにはスノードーム・インストラクターになるしかない!」と資格を取得したというからカワイイ動機です。教え方も優しくて分かりやすいので、初心者でも安心!

手作りワークショップの時間は2時間です。考えているうちに時間は過ぎていきます。小物パーツを選んでいるうちにデザインが固まってきましたが、その時には残り時間30分! 果たして完成するんでしょうか?

他の2人がスムーズに完成しているのを横目で見つつ、ついにラストスパート! 残り30分で焦りつつも集中力を発揮し、どうにか2人に追いつきます。「そんなに焦らなくても大丈夫」というわかな先生の言葉に癒されつつ、急いで完成!

素敵なスノードームがついに完成!

やっぱり手作り、物づくりは楽しいですね。不器用な私も久しぶりに集中して、あっという間の2時間でした。1人で参加はもちろんのこと、友達同士や親子でワークショップ体験もできます。ハサミが使用できる人だったら年齢不問。なかには親の手を借りずに完成させた5歳未満のお子さんもいるそうです。「子どもは飽きっぽいから2時間もたないのでは?」なんて心配ご無用。クリスマスや誕生日プレゼントにも向いているから自分用だけでなく、家族や友達をイメージして作るのもいいです。もちろん、お土産用にもOK。各地でのワークショップイベントもありますので「スノードーム美術館」に問い合わせてください。


▲一緒に体験した生徒さんのスノードーム作品。女の子らしいスノードームはクリスマス・プレゼントとしても喜ばれそうです!


▲男性カメラマンの爽やかなスノードーム作品。片面だけ小物パーツで飾って、もう一方の面は写真を入れてフォトスタンドにするそうです


▲私のスノードームのテーマは外国人観光客向け「これぞ日本土産」です。片面は歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)を背景に季節は「春」で、もう一方は「秋」。シン・ゴジラと合わせたら世界に一つの日本土産の完成です

★ワークショップのお知らせ
日程◆土曜、日曜、祝祭日
開催時間◆※ご確認ください
場所◆スノードーム美術館(アクセスは記事最後の情報欄を参照)
参加費◆※お問い合わせください
申し込み方法◆お名前、携帯番号、ご参加人数、ご希望時間をメールorお電話にてお申し込みください。
TEL:050-3479-8445
mail:info@snowdome.gr.jp
★毎月1〜2回、不定期でもワークショップを開催しています。詳細はサイトでご覧ください。
スノードーム美術館http://www.snowdome-museum.org/


* * *

スノードームは不思議な小宇宙です。美しい風景やキャラクターだけでなく、思い出も詰めることができます。また、スノードームは静かに人々の幸せを見守る身近な芸術品なのだと感じました。

今回、取材にご協力くださった日本スノードーム協会の皆さん、わかなさおり先生、一緒に体験した生徒さん、本当にありがとうございました。


▲スノードーム美術館のショップには、高さ4㎝ほどのこんな小さいスノードームもたくさん販売してました


スノードーム美術館
特定非営利活動法人 日本スノードーム協会(オフィス)
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークプラザ4階
TEL:050-3479-8445
開館時間:11:00~20:00
休館日:※お出かけ前にご確認ください
入場料:無料

オンラインショップhttp://snow.shop-pro.jp
公式サイトhttp://www.snowdome-museum.org
Twitter@japan_snowdome
Facebookページ→「スノードーム美術館
Mailinfo@snowdome.gr.jp

アクセス:JR・市営地下鉄 桜木町駅より(動く歩道で)徒歩約5分。みなとみらい線みなとみらい駅より徒歩約3分。


※この記事は「アークのブログ」に公開(2016年11月1日)されたものを加筆修正いたしました。

日本伝統の遊戯「投扇興」を気軽に楽しもう!


[最終更新日:2022年7月28日]
古くから伝わる日本の扇子を使った対戦型の遊戯「投扇興」。江戸時代の中期までは主に京都や大阪で、高貴な人から庶民の間で優雅に楽しまれていました。現代でも、実際にやってみるととても楽しい遊戯です。

2017年6月、東京にあるブラジル大使館公邸にて投扇興の交流会が催されました。NPO法人「日本投扇興保存振興会」が投扇興の指導や競技試合進行など執り行います。
今回は、そのもようの写真を交えて、投扇興の遊び方やルールなどを説明しましょう。

投扇興とは

投扇興(とうせんきょう)とは、1対1の対戦型の、伝統的遊戯です。対戦型といっても激しいスポーツではなく、扇子を投げ合って競う風流な遊び。体力も運動神経も求められません。老若男女、国籍を問わず、誰もが一緒に盛り上がれるゲームなのです。

投扇興は、京都・大阪から江戸の地に伝わると庶民の間に大流行しました。安政二年(1773年)頃には手引書や指南書が多数出版されています。ところが、あまりにも大ブームになったために賭け事の道具になってしまいました。その賭け事がエスカレートしたため、幕府は文政五年(1822年)に「投扇興禁止令」というお触れを出し、投扇興は公の場から姿を消したのです。現代では日本人にも投扇興を知らない人が多いですが、最近は徐々にマスメディアに取り上げられることも増えてきました。

投扇興にはいくつかの流派があり、ルールも点数の付け方も流派によって様々。ここに紹介する「御扇流(みせんりゅう)」は、今日まで受け継がれる正統な流派の1つで、ルールも分かりやすく競技も盛り上がります。その作法と遊び方にのっとって紹介しましょう。

投扇興の楽しみ方

●道具と舞台
敷かれた緋毛氈(ひもうせん)の中央に「胡蝶」(=的。「蝶」と呼ぶ流派もある)を立てる「枕」(=桐の台)が置かれます。対戦者は枕を挟んで向かい合って座ります。その中央、枕の前に「司扇人」(しせんにん)と呼ばれる審判が座ります。司扇人から見て、右手が「花方」(はなかた)で、左手が「雪方」(ゆきかた)。対戦者の膝元には、閉じた扇子を5本置きます。その扇子を右から1本ずつ取って開き、交互に投げ合って競技を行います。

●扇子の投げ方
扇子はただ投げればいいというものではありません。まず、姿勢や扇子の持ち方からしっかりとおぼえましょう。

姿勢は、背筋を伸ばし、片手は腿の上に置いて構えましょう。
1) 扇子を1本手に取り、あなたが「花方」ならば、扇子の「花」という漢字を上に向けます。親指で扇子の要(軸の下部)を押さえ、他の4本の指を裏面に添えます。
2) ゆっくり裏返して、裏面の「雪」を上にします。
3) この形で胡蝶を狙って構えます。扇子の先端はやや上向きにするとよいでしょう。
4) 扇子を引きながら持ち上げ、軽く手首を使い、扇子の要を押し出すように投げます。

投げ方のコツは、力まずにゆったりと投げることです。力まかせに思い切り投げると扇子はキレイに飛びません。例えるならば、紙飛行機をふんわりと飛ばすように投げると良いでしょう。その方が胡蝶に当たる確率は上がります。手首をやわらかく使うのもコツの1つです。

●採点方法と点式銘
投扇興は落ちた扇子、胡蝶、枕の位置関係で採点し、その得点を競い合います。
そのからみ方によって、銘(めい:技の名前)と点式(てんしき:得点)が決まっています。流派によって、技の名前やその得点種類・数は変わりますが、ここでは「御扇流」の点式銘を参照ください。


▲御扇流の点式銘(『投扇興に遊ぶ』日本投扇興保存振興会 編)より

技の名前は風流で情緒を感じさせます。これは「百人一首」の和歌に因んだ名前なのです(他に「源氏物語」に因んだ名前、地域にゆかりのある名前を付ける流派もあります)。例えば、投げた扇子が胡蝶に付いた鈴を鳴らしたとします。その技の銘は「秋風」といい、3点が加点されます。


▲点式銘(英語版)で得点の確認中

もし、あなたが「花方」で、扇子が胡蝶にまったく当たらなかった場合でも、落ちた扇子が「花」の面を上にして落ちていれば、1枚につき1点加点されます。


▲滅多に出ない「御幸(みゆき)」が出ました! 得点は13点

●礼儀と作法
投扇興は、礼に始まり礼に終わる遊戯です。正座はできればやった方が良いですが、できない人は無理をすることはありません。椅子に座っての参加も可能です。


▲新宿・京王百貨店での「投扇興体験会」(2017年5月24日)

競技が始まる前には、両手をついて礼(おじぎ)をしましょう。
競技の進行役は審判である「司扇人」の、「礼」の合図で始まります。対戦者が扇子を投げる度に点式銘を告げて、得点を示します。


▲歌扇人は日本投扇興保存振興会理事長の三浦尊明(本寿院 住職)さん。書扇人は三浦由希さん

すると、後ろに控えた「歌扇人(かせんにん)」が、その銘にあたる「百人一首」を詠み上げます。文机の前に座っているのは記録係で「書扇人(しょせんにん)」と呼ばれます。
対戦が終了すると、得点を集計し、扇子と道具を元の形に戻します。司扇人が勝敗を示し、礼をして終わります。


▲最初から最後まで礼儀は大切

雅な決勝戦の栄誉!

トーナメントで勝ち上がった2人の決勝戦が投扇興のメインイベントです。
会場に掛けられている色鮮やかな2枚の着物「袿」(うちぎ)は、決勝出場者のみが袖を通すことができる栄誉の象徴。この着物を羽織って決勝戦が行われます。

この日は2ブロックに分かれて、賑やかに行われていた練習試合。でも、さすがに決勝戦は全員が大注目してるので、ファイナリストは緊張しているもようです。
投扇興は、テクニックや力よりも無欲で無心の方が勝利を呼び込みやすいのです。「運」や「偶然」のようなことも作用します。結果が読めないからこそのおもしろさもあるのです。

この日の投扇興交流会を終え、ブラジル大使館公邸ではベアさんの手料理を中心にティーパーティーが行われました。皆さんは楽しく賑やかではあるけれど、とても勉強熱心な面も見受けられました。礼儀正しく、投扇興のやり方も飲み込みが早くて、とても感心しました。

ブラジル大使夫人のベア・コヘーア・ド・ラーゴさんや参加者の皆様、「投扇興交流会」にお招きいただき、ありがとうございました。
そして、取材にご協力いただいたNPO法人「日本投扇興保存振興会」の皆様に深く感謝申し上げます。

書籍『投扇興に遊ぶ』
監修・発行:日本投扇興保存振興会
価格:2000円+税

NPO法人 日本投扇興保存振興会
住所:東京都大田区南馬込1-16-2 本寿院 内
URL:http://101000.com/
※投扇興交流会や本のお問合せは、日本投扇興保存振興会サイト内の「お問い合わせフォーム」からどうぞ

▲「駐日ブラジル大使館公邸での投扇興交流会」(音が出ます)

●文・編集= 魚住陽向 (フリー編集者、ライター、小説家
●撮影= 清水亮一アーク・コミュニケーションズ

投扇興体験ができるお店・料亭・旅館(予約制)◆2022年7月28日現在
予約さえすれば、すぐに投扇興体験ができるお店があります。そのお店によって投扇興の流派があり、ルールや得点の付け方が違いますので、お店の説明や指導に従って、投扇興を楽しんでください。各店のサイトにて営業時間や定休日、体験料金も要確認。予約の際に「投扇興を体験したい」ことを伝えましょう。

扇や 半げしょう
京都東山・宮川町にある老舗の扇子のお店。
住所:京都府京都市新宮川町松原下ル西御門町440-13
URL:https://hangesho.com/shop2/

助六の宿 貞千代(さだちよ) ※閉業
住所:東京都台東区浅草2-20-1

懐石 瓢庵(ひさごあん) ※閉業
住所:東京都台東区浅草3-34-11

浅草 時代屋
日本文化を手軽に体験できる観光スポット。いろんな観光体験プランあり。
住所:東京都台東区雷門2-3-5
URL:http://www.jidaiya.biz/taikenmono.html#taikenmono5

白竹堂(はくちくどう)
京扇子の製造販売のお店。2名から予約受付。
住所:京都府京都市中京区麩屋町通六角上ル白壁町448番地
URL:http://www.hakuchikudo.co.jp/experience/tosenkyo.html

日本酒好きのワンダーランド「名酒センター」体験記

[最終更新日:2022年7月26日]
今、日本酒業界は非常に熱い!全国の酒蔵が数えきれないほど様々な美酒を醸しており、日本国内はもちろん、海外でも日本酒ファンが日に日に増えています。日本酒専門店や日本酒イベントも常に盛り上がっていて、まさにブームと言っても過言ではありません。

日本酒は色んな銘柄、色んな飲み方があるというのは大きな魅力。その反面、「何から飲めばいいのか分からない!」という敷居の高さを感じる人もいるでしょう。でもご安心ください! そんなあなたには「飲み歩キスト」である町田慈音さんがとっておきの場所を紹介します。ということで、今回は東京・浜松町にある「名酒センター」を取材してきました。(あるかでぃあ編集部)

この記事に掲載されているのは浜松町店の写真です。
名酒センターは御茶ノ水に移転しました。住所は記事末をご覧ください。

町田慈音(まちだ・じょん)
翻訳家/文筆家/飲み歩キスト
日本の文学とサブカルとお酒(とりわけ日本酒)をこよなく愛する飲兵衛さん。遠慮も謙遜もでき、誰からも愛される外国人。敬語が使えるほど日本語が超堪能…日本文化にも精通しすぎで、「生まれてくる国を間違えたね」と言われること多数のようです。町田さん曰く、「今日もきっと、美味しい日本酒を求めてどこかの素敵な酒場に出没しているはず。出会ったら日本酒で乾杯しましょう!」とのこと。

「名酒センター」はこんな素敵なお店!

「名酒センター」はJR浜松町駅から徒歩で約5分、大通りから一本入った、閑静な裏道にあります(橙色の看板が目印!)。店内に入ると、まず目に飛んでくるのは、壁一面の冷蔵庫にずらーっと並ぶ色とりどりのお酒たち。まるで日本酒の博物館のようです! ただ、もちろんここは何も眺めるだけの場所ではなく、全部有料試飲できます。まさに自分好みの日本酒に出会える、お酒好きにとっての天国です。

「名酒センター」は、全国40以上の酒蔵の協同アンテナショップで、常時120種類以上のお酒が店内に揃っています。いわゆる大手ではなく、中小規模の家族経営の蔵がほとんどで、東京のお店でなかなか巡り合えない銘柄や限定品も多く、ますますワクワクします!


▲お気に入りの「酒」銘柄入りTシャツ。お店の人じゃありませんよ(笑)

「名酒センター」の利用(試飲)システムは、極めてシンプルかつ良心的で、初めてのお客さんには店員さんが丁寧に説明してくれます。冷蔵庫から自分の飲みたいお酒を探し、カウンターに持っていくと店員さんが注いでくれます。お酒の単価によって1杯の値段が決まっており(1杯200~300円のお酒が中心で、さらに高価なものもあります)、飲み比べ用に3種を同時に頼むと100円引きになります。ワンコイン(500円〜)から3種の美酒の飲み比べができるとはなんといってもお得! さっそく選んで、飲んでみましょう。

ただ、魅力的なお酒が120種類も並んでいると、何から飲めばいいか悩む人が多いでしょう。それでは初心者でも失敗しない、お酒の選び方を紹介したいと思います。

日本酒の選び方①:お店の方に聞く
「名酒センター」の店員さんは日本酒の知識も豊富で、「日本酒の美味しさを伝えたい!」という情熱もグッと伝わります。日本酒の様々なタイプ(吟醸酒、大吟醸酒、本醸造など)やスペック(精米歩合、日本酒度、酸度)などについて、分かりやすく説明してくれます。もっと気軽に楽しみたい方は「軽めな感じで」、「甘味のあるお酒」、「しっかりしたもの」とか、ざっくりとしたイメージを伝えるだけで自分に合ったお酒をセレクトしてくれるでしょう。一杯試飲したあとで感想を伝えると、また別のお酒を選んでもらう。こうしてさらにさらに自分好みに日本酒に辿り着くという「旅」が名酒センターの醍醐味の一つではないでしょうか。

日本酒の選び方②:自分で選ぶ(文系編)
お店の方に相談するのは間違いないのですが、たまに冒険して自分で選んでみるのも楽しい。日本酒初心者で「色んな専門用語が分からない!」という方もご心配なく。フィーリングで選んで何も問題ありません!ラベルがかっこいいからとか、名前が面白いからとか、作っている場所に行ったことがあるとか、そういう理由で選んだお酒はもしかして自分の運命のお酒かもしれない。冷蔵庫に並んでいる日本酒は、北から南、東から西という順番に整列されているため、全国を旅する感覚で、それぞれの都道府県のお酒の特徴を楽しむこともできます。

日本酒の選び方③:自分で選ぶ(理系編)
一方、特に理系の方は、各酒瓶に丁寧に書かれているスペックを見て選ぶ楽しみ方もおすすめします。例えば、精米歩合は「お米をどこまで磨いたか」を表している数値ですが、40%~50%台と半分ぐらい磨いている大吟醸や吟醸クラスのお酒は綺麗で澄み渡った味のものが多いのに対して、60%~70%台(比較磨いていない、つまり玄米に近い状態)のお酒はお米のしっかりした旨みを楽しめるでしょう。日本酒度(同じ量の水と比較した場合、日本酒の比重)という数値も表記されており、一般的には日本酒度が高い=辛口/日本酒度が低い(マイナス)=甘口というイメージが強い。実際のところ、米や酵母の種類や造りの違いもあるのでなかなか一概には言えませんが、日本酒度や酸度といった数値も一つの目安にするという手もありますね。

日本酒を味わう

お酒を選んでカウンターに持っていくと、店員さんがそのお酒の背景(作り手の話、造りや原材料、味や香りの特徴の話)を丁寧に話しながら注いてくれます。それで目の前に登場した日本酒はどう飲めばよいのか? ショット感覚で「一気飲み」するのはもちろんNG。日本酒は「酔うため」のお酒ではなく、「味わうため」のお酒。まず香りを嗅ぎ、どんな味がするのだろうと想像しながら一口飲み、飲み込んだ後もその余韻を楽しめるといいでしょう。その後はお好きなつまみ(このあと、おすすめメニューを紹介します!)を合わせて、お酒と料理のマリアージュを堪能するのも粋。

もう一つ忘れてはいけないのは「和らぎ水」の存在。日本酒はビールやワインより度数が高めで、また焼酎とは違って薄めて飲むのは基本しないので「和らぎ水」(いわゆる「チェイサー」用のお水を日本酒好きはこう呼んでいる)を飲むことがおすすめです。体質は人それぞれですが、目安として少なくとも日本酒と同じ量か、お酒が弱い方はその倍飲めばまず悪酔いはしないと言われます。

では、日本酒で乾杯!

さて、「名酒センター」で実際、どんな素敵な日本酒に出会ったのでしょうか? 試飲した中から特に印象的な3種類をピックアップしてご紹介したいと思います!

●森民酒造本家(宮城県仙台市)「小粋なすずめ」純米酒
こちらのお酒は、「名酒センター」スタッフの本田さんセレクト。最近はあまり自己主張しない、ゆるゆると飲んでいつまでも飽きないお酒が好み、と語る本田哲士さん。自分もそういうタイプの酒が好きなので期待が高まる。呑んでみるとまさに「ザ・食中酒」という感じで、すっきりとした飲み口で、おつまみに優しく寄り添ってくる。確かにいつまでも飽きずに飲み続けられそう。

●中谷酒造株式会社(奈良県大和郡山市)「三日踊」特別純米
「名酒センター」の主宰者が蔵とコラボしてプロデュースしたお酒ということで選んでいただきました。日本酒独特の製法「三段仕込み」の1段目と2段目の間を「踊り」といいますが、通常1日の「踊り」を、3日間掛けることでより強い発酵を目指しているというのはこのお酒の特徴です。しっかりとした香りとお米の味わいがまさに口の中で「踊っている」ような感覚で、美味しく頂きました。

●石井酒造(埼玉県幸手市)「健誠 酒酒酒」
おしゃれで印象的なラベルを理由に選んでみたこのお酒は、本田さんの話によると、全国で稀に見る、蔵元も杜氏も20代で、若い作り手さんが生み出した名酒です。「貴醸酒」という、一部水の代わりに日本酒で仕込んだ日本酒がありますが、このお酒はなんとその「貴醸酒」で、さらに日本酒を仕込んだという「再貴醸酒」。色も味わいも日本酒とは思えず、とろ~りとした上品な甘みで、絶品の「デザート日本酒」です。若い作り手がこれからどんな美酒を世の中に送り出すのか非常に楽しみですね。

日本酒が進む「名酒センター」の絶品おつまみ

ここで、名酒センターの絶品をつまみもぜひ紹介したいと思います。日本酒は(単体で楽しむのももちろん悪くないですが)「食中酒」としてより本来の力を発揮します。おつまみ用冷蔵庫に入っているのは、見ているだけで日本酒が飲みたくなるようなアテばかり。この日は、特にお酒が進みそうなイカの塩辛(300円)と燻製豆腐(400円)をチョイス。今回は、すっきりとしていてキレのいい「小粋なすずめ」と塩辛は特に相性が抜群でした。燻製豆腐はまるでスモークチーズのような触感と味わいで、お米の旨みが味わえる「三日踊」と合わせるとお互いを引き立て合います。「名酒センター」のおつまみには、「三種珍味セット」(500円)などもあって、色んなお酒に色んなおつまみを合わせるという飲み方も気軽に楽しめて、お酒好きにはたまらないですね。

「名酒センター」のお客さんの顔と声

色々と飲み比べているうちに、美味しい日本酒との出会いを求めて、お客さんがどんどんお店に入ってくる。若いカップルからお年寄りの方まで、日本酒の人気は老若男女問わず、と改めて感動する。もうしばらくすると、若い外国人4人グループが来店。そういえば、名酒センターでは、壁に貼られている日本酒の解説や各酒瓶にぶら下がっている詳細情報も、すべて丁寧に日本語・英語対訳で書かれている。最初は特に外国からのお客さんを意識していたわけではないが、海外の某口コミサイトにレビューが載ったのを機に海外からの客さんが増え、今は日本語が分からないお客さんでも日本酒を楽しめるお店を目指している、と語る「名酒センター」の竹林ゆうこさん。最近は、毎日少なくても1組は来るという。その日はお休みでお会いできなかったのですが、アメリカ人のスタッフも一人雇われ、店内の英語表記がさらにパワーアップしているもよう。


せっかくなので、その日来店した外国からのお客さんの話を聞いてみることに。4人はアメリカ・ワシントンDC出身で、10日間ほど観光に来ている。全員日本は初めてで、日本の代表的な文化を楽しみたいという理由で、美味しい「SAKE」を求めて名酒センターに辿り着いたという。

まったく先入観無しで初めての日本酒を口にする若い方の感想を聞いていると実に面白い。一人の女性が「まるで水みたいで、お酒の味が全然しないこれが好き!」と言っている一方、別の男性は「ウィスキーとは違うけど、しっかりお酒らしい味わいがするこれが好き」という。「最近、海外で人気の日本酒はこれ!」という記事はネットとかでたまに見かけるけど、やはり日本人でも外国人でも、お酒の好みは十人十色。まず出会って(飲んで)みないと自分の好みがわかるはずもないし、そういう意味で「名酒センター」のように、色んな日本酒を、色んな形で楽しめるお店は本当に貴重な存在。

お燗や熟成酒、幅広く楽しめる日本酒の素晴らしさ!

「名酒センター」では、お燗酒コーナーも設置されており、自分の好きな温度に温めてお酒を楽しめることもできます。「美味しい日本酒は冷たくして飲むもの」というイメージを持っている方も多いですが、実はお燗の世界も実に奥深くて、色んな温度帯で味の変化が楽しめるのは、他のお酒にはない日本酒特有の魅力です! 「ホットワイン」や「ホットビール」とは違って、日本酒の中には温めてこそ本来の美味しさを発揮するというお酒もあります。もちろん、おすすめの温度帯はお酒によって違ったりするのですが、お店の方と相談しつつ、お燗酒も楽しんでみてはいかがでしょうか?

また、日本酒はワインと違って「ヴィンテージ」の概念があまり浸透していなくて、「口開けのフレッシュなものが一番おいしい」と思われている人も多いのですが、実は日本酒の「熟成酒」も絶妙に美味で、ファンが多いのです。「名酒センター」では何種類もの熟成酒が揃っているので、デザート感覚で最後の一杯にはぜひおすすめしたいところです(チョコレートを合わせると粋かも!)。

お土産も忘れずに!

名酒センターで色んなお酒を堪能した最後には「ああ~自分のうちでこんな美味しいお酒が飲めたらいいのになぁ~」と思っていませんか? そんなあなたに朗報です! 名酒センターで試飲できるお酒はほぼ全種類4合瓶(720ml)もしくは1升瓶(1.8L)で売っているので、一番気に入ったお酒を購入したらおうちでも楽しめます! 4合瓶はコンパクトで小さな冷蔵庫でも入るし、1升瓶は開けて1~2週間を掛けて繊細な味の変化を味わえるのも魅力的です。自宅用だけでなく、美味しい日本酒を飲んでみたいというお友達や家族へのプレゼントとしてはいかがでしょうか?

お酒の種類と美味しさ。良心的な値段設定。おつまみの豊富さ。そして何よりもお店の方の、日本酒愛溢れる気さくで丁寧な接客。何から何まで「名酒センター」は日本酒を楽しみたい人のためのワンダーランドのようなお店です。日本酒に少しでも興味を持っていたら、ぜひ名酒センターに足を運んでみてほしい。きっと好きな日本酒に出会えるはず!


■名酒センター 御茶ノ水店
営業日時:※変更の場合があります。
火曜日~金曜日 14:00~22:00(21:45 LO)
土曜日 12:00〜22:00(21:45 LO)
日曜日・祝日 12:00〜19:00(18:45 LO)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
TEL:03-5207-2420
住所:東京都文京区湯島1-2-12ライオンズプラザ御茶ノ水1F
アクセス:JR御茶ノ水駅より徒歩約5分、東京メトロ新御茶ノ水駅より徒歩約7分、JR秋葉原駅より徒歩約10分
URL:http://nihonshu.com/


▲名酒センターのスタッフ・本田哲士さん

文=町田慈音
企画・制作=アーク・コミュニケーションズ

女性救済の伝統儀式『布橋灌頂会』を体験しよう!

[最終更新日:2022年9月28日]
数多い日本の祭りの中でもまだメジャーにはなっていない、とっておきの祭礼情報があります。それは富山県立山町で行われる『布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)』という女性救済の荘厳な伝統儀式なのです。
★2022年9月25日は無観客にて開催されました。

江戸時代の、立山信仰を疑似体験!

立山は日本屈指の霊山(神が宿る山)と言われています。江戸時代に「立山に登ると極楽に行ける」という言い伝えがあり、立山信仰(立山信仰の解説は記事後半に)が盛んでした。ですが当時は女人禁制で、女性は登山できなかったのです。これでは女性は地獄に落ちてしまいます。そこで女性たちのために「登山しなくても極楽浄土に行ける」女性救済の儀式『布橋灌頂会』が始まったといいます(明治時代の廃仏毀釈で廃止されていました)。

1996年に、136年ぶりに再現され、2005年からは3年毎に開催されています。
悩みや迷いのある女性が事前に申込み(参加費用が必要)参加体験ができるのです。あなたの国籍、年齢、宗教は問いません。ただし日本語しか対応していないため、日本語が理解できる女性のみ参加可能となります。

橋を渡ると新しい自分に生まれ変わる!

参加女性たちは女人衆(にょにんしゅう)と呼ばれます。儀式の前日から1泊し、身を清め懺悔。儀式には白装束を身にまとい、目隠しをし、三途の川に見立てられた川に架かる布橋を渡ります。布橋は煩悩の数108枚の板からできているのです。
布橋はこの世(此岸)とあの世(彼岸)の境界で、無事に渡り切ると、死後に極楽浄土に行けると信じられていました。

荘厳な雅楽とともに高僧が女人衆を導くように進みます。山伏たちがほら貝を吹き、観ているだけでも心が清められるようです。
朱塗りの布橋を渡ると、向こう側はもうあの世。念仏を唱え、再び橋を渡り、この世に帰って来た時には新しい自分になっているのです。これは「疑死再生」という意味があります。

最新情報のチェックをお願いします

この荘厳で美しくも不思議な儀式は3年に一度行われます。
女人衆募集の情報もチェックしてください。
対象は1人で橋を渡ることができる女性。女人衆募集がされ、申し込み多数の場合は抽選で参加が決まります。
参加費用:2万円(白装束レンタル代含む)
※足袋、数珠は各自でご用意ください。
●観覧席(無料)
橋渡りの儀式をゆっくりと座って観ることができる席が用意されます。もちろん、観覧は老若男女どなたでも無料です。

★抽選に外れても、男性でも、橋渡りはできる!
一般の観光客も国籍性別年齢問わず、女人衆が橋を渡った後に、実際に布橋を渡ることができます(ただし白装束などの衣裳はなし)。
一般の橋渡り費用:2000円
もちろん橋渡りに信仰の有無や宗教も問われません。
癒されたい女性だけでなく、登山や自然が好きな人、立山信仰の歴史に興味のある人、ご夫婦、家族や友達同士でも、男性一人でも不思議な宗教儀式体験ができるのです。

2022年(令和4年)9月25日は無観客にて開催されました。

富山県立山町観光協会
住所:富山県中新川郡立山町前沢2440
TEL:076-462-1001(代)
URL:https://yukutabi-tateyama.jp/
mail:tateyamakk@hyper.ocn.ne.jp

解説:日本人の宗教観と神仏習合

神を信じない無宗教の日本人が多いと言われていますが、それは間違いです。特定の宗教団体に所属してはいませんが日常的に「冠婚葬祭」(=成人式、結婚式、葬式、法事)の行事で無自覚に宗教に接しているのです。唯一神ではなく「八百万の神」(数多くいる神様という意味)が存在し、物にも魂があると考えたり、輪廻転生や前世があるとも多くの人が信じているところもあります。1軒の家の中に「神棚」(=神道の神を祀るための棚)と「仏壇」(=仏教の礼拝施設)の両方を常設している家庭もたくさんあります。こういう日本土着の神道と仏教信仰(日本の仏教)が混淆し1つの信仰体系として再構成された宗教現象を「神仏習合」といいます。他の文化圏の宗教に関しても非常に寛容です。憲法でも「信教の自由」をうたっているため、宗教弾圧や差別がないといえます(ただし執拗な勧誘を行う新興宗教や怪しいカルト宗教団体には敏感な面もあります)。

解説:立山信仰とは
神道と仏教のミックスが立山信仰です。人々は、山そのものが神、または神の住む山として遠く離れた所から拝んでいました。「極楽往生を願う」「悪事をはたらくと地獄に落ちる」という思想は人々の心に深い影響を与えていたのです。また「立山修験」(たてやましゅげん)と呼ばれる修験道でもあります。修験道では、山へ籠もって厳しい修行を行うことで悟りを得ることを目的としています。日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられているのです。修験道の実践者を修験者(しゅげんじゃ)または山伏(やまぶし)と呼びます。伝説上の「天狗」は「山伏」の格好をしているものが有名で、古代から続く山岳信仰に結びついたものでしょう。


注意:「祭り」の意味と雰囲気
日本語の「祭り」は全て「フェスティバル」と直訳される場合が多いのですが、その祭りによっては「行事」「儀式」という意味合いのものもあり、祭りの目的も雰囲気も全く違います。明るく元気な祭り、荒々しい祭りもあれば、鎮魂の意味がある厳かで静かな祭りもあります。


▲2006年ポスター「橋の向こうに新しい私がいます」

※この記事は、2015年3月13日に「アークのブログ」にて公開された後、加筆修正したものです。


▲[立山布橋灌頂会 Nunobashi Kanjoe Purification Ceremony on Holy Mt.Tateyama](音が出ます)

街全体がモダンなビルの博物館! 銀座を歩いて学ぶ建築見学ツアー

[最終更新日:2022年7月26日]
「銀座の近現代建築めぐり」という建築史家が著名な建築家が設計した近現代の建物、そのデザインや歴史的背景を解説する本格的な見学ツアーがあります。通常の日本語コースに加え、英語コースが開始されました。今回は建築の知識ゼロでも楽しめる見学ツアーをレポートします。

銀座の近現代建築めぐり「Architectura Ginza」
[日時]2015年11月1日(日)10:30〜12:00(英語コース)/15:00〜16:30(日本語コース)
[主催]銀座たてもの展実行委員会

詳しい解説付きで建築物を知る
新しい街歩きツアー

「銀座の近現代建築めぐり Architectura Ginza」が開催されました。銀座にある近代建築の巨匠・丹下健三や黒川紀章、伊東豊雄、坂茂といった著名な建築家の作品を歩いて巡る見学ツアーです。作品といっても街の中にあるビル。戦前から戦後の高度経済成長時代を経て、現在へと受け継がれる建築の味わい方を学びます。午前・午後とも定員10名と少人数です。各建物の歴史や見どころを案内人・建築史家の禅野靖司先生が分かりやすく解説してくれます。

[案内人プロフィール]
禅野 靖司(ぜんの やすし)
東京生まれの建築史家。カリフォルニア大学ロサンゼルス校とコロンビア大学大学院で建築史・理論を専攻。現在は青山学院女子短期大学等で講師をつとめる。2015年秋より建築ツアープロジェクト「アルキテクトゥーラ・トーキョウ」を始動。
※「アルキテクトゥーラ」とはラテン語で「建築」。
今後のツアーに関するお問合せzzzzEnno@yahoo.co.jp まで。


[近現代建築めぐりコース](2015.11.1)※( )内は竣工した年
①静岡新聞・静岡放送ビル(1967)→ ②電通銀座ビル(1934)→ ③泰明小学校(1929)→ ④ソニービル(1966)→ ⑤メゾンエルメス(2001)→ ⑥ルイ・ヴィトン銀座並木通り店(2004)→ ⑦第一菅原ビル(1934)→ ⑧東京銀座資生堂ビル(2000)→ ⑨銀座六丁目プロジェクト(2016)→ ⑩銀座ライオンビル(1934)→ ⑪ニコラス・G・ハイエックセンター(2007)→ ⑫中銀カプセルタワービル(1972)→ ⑬Ginza Kabukiza(2013)→ ⑭三愛ドリームセンター(1963)→ ⑮和光(1932)→ ⑯教文館ビル(1933)→ ⑰奥野ビル(1932)→ ⑱川崎ブランドデザインビル(1932)

新橋駅スタート〜元・電通本社ビル〜有名ブランドショップビル

ツアー参加者の皆さんが集まり、「建築めぐり」スタートです。

今まで日本語解説のみでしたが今回初めての午前の部・英語コースです。禅野先生が英語で解説してくれます。

▲元・電通本社の電通銀座ビル(現在の本社は汐留)

▲ブランドショップビルが多いのも銀座ならでは

戦前築のビルから2017年竣工予定の建造物まで

銀座には歴史的価値ある建造物が多く現存しています。解説を聞き、ビルの建てられた背景や建築家の思いを知ることで街歩きを満喫できます。


▲スクラッチタイルや丸窓が昭和初期の面影を残す第一菅原ビル(1934年竣工)


▲レンガ色の東京銀座資生堂ビルはスペイン出身の建築家リカルド・ボフィル設計

建築家・黒川紀章氏の初期の代表作で「メタボリズム」を象徴するビル「中銀カプセルタワービル」。建築史上貴重かつレトロフューチャーな姿がフォトジェニックなビルです。ツアーの参加者の皆さんもたくさん写真撮影していらっしゃいました。

銀座中央通りの代表的なビル群〜
80年前の高級アパート内を見学!〜ゴール

今回は多くのビルを見て回る主旨なのです。約1時間半、普段のツアーより多めに歩きました。大通りを進み裏道を抜け、いい運動になります(笑)。参加希望者はスニーカーや歩きやすい靴がオススメです。


▲銀座を印象づけるシンボルのひとつ「和光」の時計塔

▲奥野ビルは1932(昭和7)年に竣工した元・高級アパート。現在はアンティークショップやギャラリーが入っている。貴重な手動開閉式エレベーターが現役で稼働中。

ゴールは「川崎ブランドデザインビル」(1932年竣工)。「銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)」として現在も保存・活用されています。

この見学ツアーは著名な建築家を知らずとも楽しめます。時代によって移り変わる銀座を見てきた建物が愛おしく感じられました。メンテナンスは大変ですが素敵なビルは解体しないで遺してほしいと思います。
この建築見学ツアーは今後も催される予定です。ぜひ、あなたのフォトジェニックな建物を見つけてください。

銀座たてもの展 Architecture Exhibition in Ginza
展覧会、見学会、アートプログラムの企画実施するプロジェクト。銀座1丁目から8丁目をアート、建築、デザインで繋ぐことで新たな銀座の魅力を抽出すると同時に、情報発信し、リアルな銀座を共有することを目指しています。
[URL] https://www.facebook.com/ginzamikke/

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写真集『中銀カプセルガール』
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト青月社

フォトグラファー山本華漸(やまもとかざん)が11人の女性モデルをカプセルで撮影した写真集。中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトが「アートの力で建物を再生」をテーマとした「中銀カプセルアートプロジェクト」第1弾。世界的に有名なこの建物を未来に引き継ぐために写真集を出版されたとのことです。

中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト青月社

今回のツアー・コースにも含まれていた「中銀カプセルタワービル」。その外観を見ただけで魅了された人も多いはず。「部屋はどうなっているんだろう?」「誰がどんなふうに住んでいるの?」と見てみたくなった方はこの本をオススメします。ステキなビジュアルファンブックです(中銀カプセルタワービルに住む「銀座たてもの展」担当キュレーターが取材協力)。

※この記事は2015年11月24日に「アークのブログ」にて公開されました。

「マリオ&ルイージ図屏風」の木版画を制作した[芸艸堂]

[最終更新日:2022年7月21日]
日本画の歴史ある流派の一つ「琳派」四百年と任天堂「スーパーマリオブラザーズ」30周年を記念し、国宝「風神雷神図」をモチーフにした「マリオ&ルイージ図屏風」が制作されました。また、その木版画も制作され、90部が限定販売されています。木版画を制作・発売したのは120年以上の歴史をもつ日本唯一の手摺木版本の出版社である芸艸堂(うんそうどう)。今回は芸艸堂の仕事と「マリオ&ルイージ図屏風」の情報をお届けします。


「マリオ&ルイ―ジ図屏風」©Nintendo 作 山本太郎 2015年

[芸艸堂]は本来の意味で、日本唯一の「板元」

出版業界では出版社を版元(はんもと)と呼ぶことが多いのです。江戸時代は機械印刷がないので木版画が主流でした。版木の製作から印刷・販売まで一貫して行う書物問屋が版木を所有していたことから板元(はんもと)と呼ばれていたのです。時代が移り、板が使われることが減って、「板」は「版」に転じました。現在、手摺りの木版本刊行や手摺り技術を活用した美術書の制作をする板元は日本で[芸艸堂]だけなのです。


創業1891年と、120年以上の歴史を持つ[芸艸堂]四代目の山田博隆さんにお話を聞きました。
「昔から京都の地場産業は着物の染織などが主だったところでした。そういった着物の図案家(デザイナー)や工芸作家たちが参考にする図案本(集)を私どもは出版してきたんです。昔はカラー印刷といえば木版摺でした。1枚の絵や図案をつくるのに色を重ねていくので版木はたくさん必要なんです」(芸艸堂・山田さん)
明治・大正・昭和初期に活躍した神坂雪佳(かみさかせっか)は京都でも有名な画家・図案家。琳派の柄を使い、新しいデザインを提案して京都の工芸界を活性化させました。その神坂雪佳の図案本を出版していたのが芸艸堂です。


※琳派模様(りんぱもよう)/百々世草(ももよぐさ

「当時、雪佳さんの本を出すと他の出版社は別のデザイナー(図案家)を見つけてきて新しいデザインを提案した本を出すわけです。お互い競い合っていましたね。現代のファッション誌のようなものをイメージしたら分かりやすいかもしれません。『次はこういう柄が流行りそうですよ』と新しいデザインを出し合って、京都の図案家や工芸作家に販売していた。競争があるから次から次に新しいものが増える。すると必然的に摺るための版木も増えていったというわけですね。所蔵している版木は数えたことはありませんが、推定で10万枚以上ですね」(芸艸堂・山田さん)




芸艸堂の経験ある彫師、摺師といった職人さん達の手間と労力によって、現代にも継承される美しい木版画。その技術は浮世絵や鑑賞作品、美術本以外にも活かされています。扇子、手ぬぐい、絵はがき、便箋・封筒、折り紙、ファイル、和雑貨。木版和綴じノートや和の手控え帖、豆本も世代を超えて人気があります。一筆箋は縦書きに不慣れな外国人からの要望で横書きバージョンも販売。販売サイトもチェックしてみてください。

芸艸堂
[URL]→ http://www.hanga.co.jp/

京都本店》 9:00~17:30(店休:土日祝)
京都府京都市中京区寺町二条南入妙満寺前町459番地

東京店》 9:00~17:30(店休:土日祝)
東京都文京区湯島1-3-6

琳派400年×スーパーマリオ30周年記念「マリオ&ルイージ図屏風」

「マリオ&ルイージ図屏風」を制作した経緯をイムラアートギャラリー(展覧会の企画・制作)の担当者の方にうかがいました。

「現代の琳派継承者の一人、画家の山本太郎(イムラアートギャラリー所属)が琳派四百年という機会に『何か特別なことができないか』と考えておりました。そんな折に任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』が30周年を迎えられると知り、お互いを祝うような絵を描かせていただけないかとオファーをしたのがはじまりです」(イムラアートギャラリー・担当者)

山本太郎さんは、古典絵画の中に現代の風俗を紛れ込ませたユーモラスな作風で、ニッポン画家とも現代の琳派とも称されています。
今回の「マリオ&ルイージ図屏風」のモチーフになったのは俵屋宗達による「風神雷神図」。
「琳派の祖といわれている俵屋宗達の『風神雷神図』は400年もの間、継承されてきた琳派の大切なモチーフ。山本太郎も敬愛の念を強く持っています。そして、任天堂も『スーパーマリオブラザーズ』というキャラクターを企業の宝として守っていますよね。もし描かせていただくのであればこういう構図がいいのではないかと提案させていただきました。とは言っても実は、山本太郎も私どもみんな『スーパーマリオ』世代なんです(笑)」(イムラアートギャラリー・担当者)


“MARIO and LUIGI Rimpa Screen” ©Nintendo, Taro YAMAMOTO, 2015

「マリオ&ルイージ図」は屏風だけでなく、木版画として芸艸堂が制作しました。
「屏風だけだと一般の皆様の手元には届きませんよね。こういう良い機会にせっかくですから木版画を作って、琳派のファンにも任天堂ファンにもお届けできないかと任天堂と芸艸堂に相談させていただいたんです」(イムラアートギャラリー・担当者)
「任天堂もイムラアートギャラリーも芸艸堂も、同じ京都の企業です。これに参加して同じ作品が作れるのは光栄ですし、楽しいですね」(芸艸堂・山田さん)
これは、日本の美術史にもゲーム史にも残る、ある意味「国宝級」の作品です。これをその目に焼き付け、複製を手元に置くというのは現代人として極上の幸せだと思います。

「マリオ&ルイージ図」木版画
版画面上に「山本太郎」サイン・落款・限定番号(90部限定)入り
価格 : 194,400円 (税抜18万円)
[芸艸堂]公式サイト→ http://www.unsodo.net/

この記事は、2015年10月22日に「アークのブログ」にて公開されました。

日本のマンホール蓋の芸術性とそのムーブメントを知る!

[最終更新日:2022年7月18日]
日本独特の伝統や文化の中でも個性的なコンテンツの一つがマンホール蓋です。そんなマンホール蓋に魅力を感じるマニアがいます。最近ではマンホール蓋に関するイベントもあり、人気も上昇しています。そもそもマンホール蓋を楽しむ日本のムーブメントはいつ頃から始まっているのでしょうか。今回はネット時代におけるマンホール蓋マニアである森本庄治さんにお話を聞きました。

森本 庄治(もりもと しょうじ)
マンホール蓋愛好者。イベント「マンホールナイト」メンバー。ソーシャルソフトサービス「マンホールマップ」も実施中。
Twitter: @morimo_t

マンホール蓋観察文化は1984年から始まった

マンホール蓋は日本人にとっては何気ない日常風景です。でも、その芸術性の高さとバリエーションの豊富さは世界一といえます。
「最近、世界中から日本のマンホールが注目されるようになったのはオーストラリア人の写真家レモ・カメロタの写真集がきっかけかもしれません。この写真集はNew York Book Festival 2010でベスト・フォトグラフィー・アートブック賞を受賞して話題になったようです」(森本さん)


▲『Drainspotting: Japanese Manhole Covers』(Remo Camerota)

日本国内でもマンホール蓋を探し歩き、撮影や拓本をとる人が多く存在します。ここ数年、マニアが増えて、イベントでも交流を図っています。テレビやネット上で紹介される機会も増えました。では、そもそも日本でマンホール蓋を愛でる文化はいつ頃から始まったのでしょうか。
「デザイナーで路上観察学会員の林丈二さんが1984年に『マンホールのふた 日本篇』という本を出版されたんです。マンホール蓋を観察する文化はそれから始まったといえます」(森本さん)
2005年に刊行され絶版となっていた『路上の芸術』(垣下嘉徳)も2015年2月に「復刻版」が再刊されてました。ともに路上観察趣味者にはバイブルであり基礎テキストになっています。


マンホールのふた 日本篇』(サイエンティスト社)
路上の芸術【復刻版】』(ホビージャパン)

インターネットSNSで魅力を広める

それまでマンホール蓋観察者は旅行先や出張先で見つけたご当地マンホール蓋を撮影するだけという人がほとんどだったようです。
「僕が初めてマンホール蓋の写真をとある写真共有サービスに公開したのが2007年でした。反響が大きかったので、皆マンホール蓋に興味あると気づいたんです。僕はそこから始めたのでまだまだ新参者なんです(笑)」(森本さん)
彼のすごいところはそこからの展開でした。

「始めた当初、一番困ったのはネット上でマンホール蓋の写真があっても位置の詳細が分からなかったことです。町名までしか出ていなかった。行ってみて探してもなかなか目当ての蓋が見つからなかったんです。今はもう経験値が上がったので地図見たらだいたいどこにあるか分かるんですけど(笑)」(森本さん)
そこで彼は友人のSEに「位置情報が分かるマップ作って」と頼んで、サイト「マンホールマップ」が完成したのです。
「自分の個人的欲望から作ってもらいました(笑)。それにツイッターで#manhotalkというハッシュタグも作りました。「マンホール」で検索して、いろんな人と交流もしました。ソーシャルでマンホール蓋の魅力を広めていったんです。するとツイッター上でマンホール好きのコミュニティが形成され始めたんですね」(森本さん)

みちくさ学会」という路上観察趣味ページがあり、彼はその中の「マンホール蓋」講師も務めています。ここにはマンホール蓋の写真と基礎知識や歴史、撮影ノウハウも詳しく書かれています。
「『みちくさ学会』から声がかかるのと並行してツイッター上でコミュニティが形成されつつありました。そして、『マンホールナイト』というイベント・チームが生まれたんです。サイト『マンホールマップ』からはツイッターで知り合った人がボランティアで連携するiPhoneアプリ『マンホールMAP』やマンホールのつぶやきを自動収集してくれるボットを制作してくれたり。ソーシャルなチカラはすごいなと思いましたね」(森本さん)
まさに彼はネットの普及とともに趣味の世界を展開してきた「インターネット時代でのマンホール蓋愛好家」といえます。

マンホール蓋愛好イベント

イベント「マンホールナイト」が始まったのが2011年11月2日でした。
「元々はマンホール好きの学会的なイベントとして始まりました。本格的な調査や研究しているんですよ。毎年11月開催予定なので興味ある方は募集サイトをチェックしてくださいね」(森本さん)

また毎年開催されるイベント「マンホールサミット」(主催:下水道広報プラットホーム(GKP))にも「マンホールナイト」のメンバーは関わっています。
「『マンホールサミット』は大盛況で毎年300人以上が集まります。僕らは協力で参加しています。マンホール蓋愛好のムーブメントは年々盛り上がっています。マンホール蓋グッズや本もたくさんあるんですよ」(森本さん)


森本さんが気に入っているマンホール蓋を紹介

今回は、森本さんご自身が気に入っているマンホール蓋をいくつか選んでいただきました。森本さんの解説コメントと合わせてご覧ください。


①釜石市の蓋:釜石・大槌地域に伝承されている虎舞をモチーフにした蓋。ダイナミックにデザインされた虎が素晴らしい 

②小平市の蓋:日本中に多数ある富士が描かれている蓋の中でも、緩い雰囲気のデザインが魅力

③福井市の蓋:空襲、大震災と2回の大被害から力づよく復活した福井市を、2羽のフェニックスで表現

④広島市の蓋:平和の祈りと、治水への誓いを6本の千羽鶴の束で表現

⑤釧路市の蓋:夕焼けの中、親子の丹頂鶴が飛翔している姿を描いた蓋

⑥松茂町の蓋:市の花 松葉菊の中心にまっぴー。ゆるキャラ蓋には珍しい控えめな感じ。和みます

⑦大船渡市の蓋:東日本大震災被災地のマンホール蓋。よく生き残ったと思います

マンホールマップhttp://manholemap.juge.me/
マンホールナイトhttp://manholenight.info/
マンホールカードhttp://www.gk-p.jp/mhcard.html

※「マンホールサミット」についてはこちらの記事もご覧ください
http://www.ark-gr.co.jp/blog/manhole-summit2016/
※「マンホールカード」についてはこちらの記事もご覧ください
http://www.ark-gr.co.jp/blog/manhole-card_2017/

※この記事は、2015年10月9日に「アークのブログ」にて公開されました。